Bookreview 『お見合い35回にうんざりしてアメリカに家出して僧侶になって帰ってきました。』

書評

kobaです。
今回は、『人生初の本』です。
何が「人生初」なのかというと、

リアル知人の書いた本を買う

のが初めてなのです。

著者の英月さんとは、もう8年前になりますが、有志の法話会「若手有志による真宗合同布教大会」というのでご一緒させて頂いた時からの縁だったと記憶してます。
この時に、英月さんと私kobaがともに出講(お話する講師)でした。そしてお昼にランチをご一緒させて頂いたのです。
今思えば不思議なご縁ですがね〜!

それからというもの、京都に行く際には時々連絡させて頂き、京都のど真ん中にお住まいの英月さんと時々ランチとか軽く一杯呑とかご一緒させてもらってます。
※ちなみに英月さんは下戸なのですが、よく喋らはります

そんなご縁の方の本なら何故ソッコー買わんのだ!と叱られそうです。
ともあれ、この本のタイトルを見た時

英月さんのサクセス・ストーリー

というイメージを勝手に持っていました。
だって英月さんは写真でも分かる通り、背は高いし髪型もバチッと決まってるし、服装もヨレヨレじゃない文字通りの美坊主です。この表現が適切かどうかわかりませんがとにかく美。
そして京都のお寺さんだし。

農村部のお寺からしたら都のど真ん中のお寺さんていうだけで勝ち組!という偏見を持ってました。

ところがそのイメージは見事に打ち破られました!

この本は一人の求道者の物語です。
人生を通して、愚直なまでに仏法と己に向き合ってきた一人の求道者の歩みが綴られています。

…と、美しく書けばそうなるのですが、『ズッコケ奮闘記』でもありますw
もう、ね。ツッコミ所山盛りですw
そしてとにかく「オモロ」かったです、この本。
では以下、レビュー本編です。

基本データ

  • 著者…英月(えいげつ)
  • 出版社…㈱幻冬社
  • 価格…本体1400円+税
  • ページ数…179P
  • 初版…2020年6月2日

著者紹介

英月(えいげつ)

京都市生まれ。
真宗佛光寺派長谷山北ノ院大行寺住職。
銀行員になるが35回以上ものお見合いに失敗し、家出をしてアメリカへ。そこでテレビCMに出演し、ラジオのパーソナリティなどを務めた。帰国後に大行寺で始めた「写経の会」「法話会」には、全国から多くの参拝者が集まる。『毎日新聞』にて映画コラムを連載。情報報道番組コメンテーター。著書に、『あなたがあなたのままで輝くほんの少しの心がけ』(2014年、日経BP社)、『そのお悩み、親鸞さんが解決してくれます』(2018年、春秋社)、共著に『小さな心から抜け出す お坊さんの1日1分説法』(2013年、永岡書店)、『vs仏教』(2019年、トゥーヴァージンズ)がある。
※巻末より転記

本の概要

第一章から第四章までの本編に「はじめに」と「おわりに」を加えた七部構成になっています。
<各章の概略>

  • 第一章…「地獄 ここではないどこかへ」
  • 第二章…「貪・瞋 がむしゃらに生きる」
  • 第三章…「癡 わかっていないことがわからない私」
  • 第四章…「光 気づかされる私」
  • 第五章…「浄土 『今、ここ』を生きる」

<本の仕様>
今回は電子書籍で購入し、Kindleで読んだので装丁が詳しく分からず…これって電子書籍の盲点ですね。おそらく出版側としてはその辺の質感も楽しんでもらう意図もあるのでしょうが、まずは読めたということでお許しを…。
それにしても表紙のイラストが良いです。なんか英月さんの感じがとても良く表現されてるというか。(ちなみに今回レビューを書くにあたり、本著の画像や英月さんの情報を確認するのにググった時のキーワードが『お見合い35回』という雑なキーワードであったことはナイショです)

作品の背景

出版のきっかけを英月さん本人に伺ったところ、「新しく本を出そう!と言われたのがきっかけだった」とそのままのご回答を頂きましたww
そして実際のところ、今年で日本に帰ってきてちょうど10年。節目として立ち止まるよい機会になったとの事です。

ちなみに私も寺に帰ってきて10年

どうでもいい情報ですが、なんか親近感。
10年って確かに節目ですよね。
結婚なら『スイートテン』とか言いますが、お寺の場合はなんていうんだろうなぁ。

「スイート金・銀・瑠璃・玻瓈・硨磲・赤珠・碼碯

長いわ。仏教関係の人以外分からんし。
ちなみにウチも結婚10年で記念の旅行をチケットからホテルから全部予約してお金まで支払ってスケジュールまで空けて散財しちゃぅなーポリポリとかやってたらコロナでダメになりました。

世の中うまくいきまへん。

この本の最強おすすめポイント

もう、おすすめポイントはありすぎて書ききれません。
というか、kobaなりにこの本をざっくりと3つに分けてみると

前半で笑わせる

中盤で読ませる

終盤で頷かせる(泣かせるとしても良い)

って感じです。

<序盤で笑わせる>

もう、とにかく笑いながら読みました。まさかお坊さんの書いた本でこんなに笑いながら読むことになるとは。

だってね。
英語ができないと自身も語られていて、『This is a pen.でアメリカへ』という見出しがあったのですが、最初は

「いやーいくら英語出来ないって言ったってそりゃ『盛り』すぎ違うかー」

といいたくなったのですが、本文読むと本当でした。
サンドイッチの中身を「チキンにしてほしい」と伝える場面でチキンの発音が通じなくて苦戦するシーンがあるのですが、「ハムじゃなくてビーフでもなくてフィッシュでもないの」と言い放ち、最後は鳥のモノマネをするとかww

本当に出来ない人のパターンでしたw

いや、こんな書き方したら失礼だし怒られそうですが、英語に関しては10段階評価で「3」の時期が続いた僕でも「バード フォー イート」くらい言いますよぉ(ちなみにコレでも伝わらないだろうし、出来ない人には変わらないのですが)。
そしてレストランでオーダーを取り間違えないように心掛けたことといえば

「それは気合です」

とか。
もうね、ナマ英月さんを知ってる人からしたら、本から声が聞こえてきそうなセリフと表現がたーくさん出てくるんですよ。だから前半はもう笑い笑いで楽しく読めました。

<中盤で読ませる>

アメリカで本願寺派むの開教総長さんに南無阿弥陀仏を教えてもらうくだりとか、日本でお母さんと一緒に得度する時の攻防戦とか、中盤はとにかく

シーンがリアルに描かれている

と言えます。
先般書いたブックレビューで「読みたいことを書けばいい」という本のreviewを書きました。

この本の中で

つまらない人間とはなにか。それは自分の内面を語る人である。少しでもおもしろく感じる人というのは、その人の外部にあることを語っているのである。

とあるのですが、英月さんは正しくこの「自分の外部にあること」をリアルに描かれています。ここで「描く」という字を使ったのは本当に映像が浮かぶようだからです。
ホームレスに助けてもらうシーンなんて、読んでるこっちがドキドキするくらい不審者の感じが伝わってきます。”不審者”という単語はこの場面では3こしか出ていないのに。なんだろう、あの臨場感。
もちろんご自身の内面のことも書かれているのですが、それより周囲の人物とか事象の描き方がとにかく上手くて、アメリカでお坊さんになってそれから日本に帰ってくるシーンはドラマにできそうです。もちろん本人出演でww

終盤で頷かせる(“泣かせる”としても良い)

終盤はお寺に帰られる時のやりとりが、これまたリアルに描かれています。
お寺関係の人、特に長男であったり長女であったりという、いわゆる「ポスト住職」の人ならかなり共感できる話がたくさん出てきます。
一番印象に残ったのは、寺を出た弟さんのセリフでした。

「僕には将来がない」

これ、似たようなセリフを私も言ったことがあります。
「俺なんてどうせ寺なんだから」と両親や姉に言いました。そして「姉ちゃんはどうして男じゃなかったの」とも言いました。
英月さんも本文で言われた通り、お寺の長男って将来の夢を見るということはできないのです。
まぁ、少なくともお寺の後継ぎとして生まれた長男は大なり小なり似たようなものかもしれません。
弟さんはきっと心のどこかに鍵のかかった箱を持っているんじゃないかなぁ。それは「パンドラの箱」であり、不用意に誰かが開けようとすると大変なことになる。本人も周囲も傷つける。
それだけ重いんです。『後継ぎ』って。

でもそれを英月さんは引き受けた。だから凄いなぁって。
改めて英月さんには弟目線で勝手に

『ありがとう』

って言いたい。何の話ww

最後に

本著を通して言えることはとにかく

英月がよくわかる

だと思います。

『大解剖!英月のすべて』

というタイトルでも良かったんじゃないかと思うくらい、英月さんの全てが濃縮して詰まっている感じがします。
そして勝手に共通点で、kobaも同じなのです。
私は京都の大谷大学を出た後に大学院に行って、その後就職して問屋の営業マンして14年間京都にいましたが…

その全てが家出です。

社会勉強したかったとか綺麗ごとではなく、とにかく「寺に帰らないで済むにはどうしたらいいか」が基本でした。だから僕も英月さんと同じで

里に帰ったら損をする

と思っていました。
そして浦島太郎状態の地元のことやうまくいかないことを他人のせいにして自分の出自を呪い続けて「鬱病」になりました。
結局「自分と自分を生み出した土」を嫌うような心そのものが一番自分を苦しめるのだ、と気づくのに何年もかかりました。
でも未だにそのことと仏法というのが結び付かない自分もいます。
まだまだだな。

英月さんは本著の最後のほうで

ではアメリカに帰りたいのか?といえば、答えはNOです。

と書かれています。
同じ質問を私自身にもぶつけてみると答えは…

まだ分かりませんw

その点でもまだまだだな、俺。

この本はただのエッセイではありません。
そしてただの仏教書でもありません。
繰り返しますが

一人の求道者の物語です。

お時間あれば、ぜひご一読を。

追伸 : 英月さん、だいぶヨイショしときましたよwww

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