コロナ禍の「葬儀縮小」は吉と出るか凶とでるか

お寺関係で調べてみた

こんにちは。kobaです。
一気に冷え込んできましたが、体調崩されたりしていませんか??

最近、当山(自分のお寺)では葬儀が続いております。

今月に入ってすでに3件。
大体うちのお寺は葬儀が月に1~2回くらいなのですが、今月は前半だけでもう既に3件。
寒くなると葬儀が続くとも限らないのですが、真夏に続くことは少ないので、気候と無関係でもなさそうです。
さて今回のテーマはタイトルにもありますように

『コロナ禍の葬儀縮小は吉か凶か!?』

です。

コロナと葬儀の関係


今年の1月に中国の武漢でコロナが発生し、日本でも春から緊急事態宣言が発令され、全国的に「人が集まる」ことは自粛される事となりました。
葬儀も当然その影響は受けており、一般的には通夜・葬儀の後に『お斎』といわれる会食があります。
この『お斎』のやり方や内容は宗派というより地域によって異なります。
やはり田舎に行くほど付き合いは濃密な為に参列は多くなり、親戚の人数も多くなったりします。
ところが最近はそうでもなくなってきました。ここ数年、昔に比べると親戚付き合いというのも少し希薄になってきたなぁ~とは感じていましたが

コロナ禍のお斎自粛で一気に加速しました。

正確に言うと、お斎の自粛で親戚の行き来が無くなってしまい、参列が少なくなっています。
それどころかご遺族と我々寺院との会食も無かったりします。


この風潮の中でこういうご意見(ご指摘?)があります。

「近年ではただでさえ、人と人の繋がりが希薄になっている。さらに最近の人はコロナにかこつけて大切な繋がりを断ち切ろうとしている。行く末が心配だ」

これはある意味ではその通りです。

当山でも春からの葬儀は軒並みお斎が自粛され、多くの人が参列もしないようになってきました。
本来だったら世間との付き合いの多い、例えば社会的地位のある方(地元企業の社長さんとか)や、多趣味で近隣とも幅広くお付き合いされていた年配の方の葬儀であっても『家族葬』になり、お斎はありません。
お斎で使用される町内の仕出し屋さんにもここ何か月か行っていません。
そんな状況は確かに寂しくもあります。だってご遺族とロクに会話が出来なかったり、久々の親戚同士の交流が無いわけですから…。

葬儀には相互扶助の意味合いがある

話は変わりまして、私の地元の葬儀のやり方についてお話させてください。

私の地元の葬儀は、『呼ばれていない人も参列する』のです。
一般的には親戚だとか特別な付き合いのある人に「葬儀ご案内」みたいな紙を配って人数を読んで返礼品を数えたりしますよね。
ところが私の地元ではその「葬儀案内」を出していない人も参列する場合が多いのです。

その家で葬儀が出ると、自宅の前に「忌中札」と呼ばれる木製の案内板みたいのが出ます。
ここには亡くなった人の氏名と命日が記されています。
それを見た人が香典を持ってお参りに行きます。
自宅に行く場合もあれば、葬儀会場に参列される場合もあります。
参列されればご遺族は当然手ぶらで返すわけにはいかないので「通夜ふるまい」と呼ばれる会食を用意します。これは故人のお付き合いのレベルによっては膨大な数になったりします。
この「通夜振る舞い」、私の地元では精進寿司をテーブルに置きます。大体の参列の人数を想定して手配するのですが

故人のお付き合いが分からないと何人来るか分からなくて大変だったりします。

なので、ご遺族は大抵「大目に」精進寿司を用意します。
ちなみにその精進寿司はこんな感じです。

とある地元企業の社長さんのお母さまの葬儀でのこと。
故人と喪主の付き合いの数が多かったものですから、精進寿司はなんと200個用意されたそうです。

結果、寿司は60個余ったそうです。

余っても仕方がないからということで、ご遺族はその精進寿司を配りまくったそうです。
ウチにも3~4個渡して下さいました。
『息子さんにどうぞ』と言って3~4個。場合によってはもう二個くらい増えそうな勢いでした。

この「不特定多数の為に用意しておく」というのは一つの相互扶助の意味合いがあるそうです。
つまり、自分の所で沢山振舞ったとしても他所さんも同じように振舞うのですから、持ちつ持たれつになる訳です。そうやって食べ物や香典・返礼品が流通することによって食べれない人も飢えない訳だし、地元企業も潤います。
そうやって葬儀そのものが地元への貢献にもなっていく。
そういう意味ではこの私の地元のやり方は「なるほど」と膝を打ちます。
しかし、最近では社会全体が豊かになってきた事で、この「食えない人」というのが少なくなってきました。いや、経済格差は当然ありますが、昔に比べれば格段と豊かになってきているはずです。

なので、この「葬儀が相互扶助になる」という意味合いが崩れてきました。

最近ではお腹を空かして道をウロウロしている方というのはあまりお見掛けしませんし、少子化で食べ盛りのわんぱく兄弟が7~8人なんてご家庭ありません。
「最低限、何とか食べてはいけてる」家庭が多くなり、また葬儀社も増えてきたことによって、相互扶助しなくても葬儀が出せるようになってきました。

葬儀が交流の場になる


そして、葬儀にはもう一つ『親戚や知人との交流の場になる』という効果があります。

葬儀の場で親戚、例えばイトコ同士が「いや~何十年ぶりだね~」なんて会話をしていることが多々あります。
ある程度年齢を重ねてくると、もう結婚や出産も終わってたりして「わざわざ一堂に会する」用事が無くなってきてしまいます。
半分冗談みたいに『いや~次に会うのは誰の葬式かな~』なんて言葉も飛び交います。お酒が入れば、なおさら皆さん饒舌です。ゲラゲラと笑いながら、皆さん会話を楽しんでおられる節もふります。

だから葬儀には、やっぱり「人と人をつなぐ役割」はあるようです。

しかし、それでいてお斎の場というのはお酒が絡むことによって「面倒な集まり」という側面も否めません。
『お前、結婚はまだか』『子供は出来たか』『仕事は何してる』などの会話はザラです。
そのくらいで言葉が止まっていればいいのですが、こういう”パーソナリティ”に関わる問題って微妙な問題をはらんでいることも。
私は子供が一人なのですが、そのことで色々言われました。

『何で子供もっと作らないの』
『俺のタネ貸してやろうか』

などと言われたこともあります。
こういう、場面によっては問題になる発言が飛び交うのもお斎の場であったりします。
何故こんなことを言われるのか分からなかったのですが、ある人には「そういう場面を通して育ててもらうんだよ」と言われましたが、

それ、「良いように言ってるだけじゃね?」

と思っちゃうんです。
いや、「良いように」になってないな…。
こういう「ひと昔前だったら笑って流された」問題が笑って流されなくなってきました。それは世の中が多様化してきた影響もあるのだと思います。
でも、ズバッと(サラッと?)こういうことを聞いちゃう人も結構いますよね。
ウチの住職なんて

『おたく、子供さん何人?』と聞いて、相手さんから
『離婚して子供は相手方のとこにいます』

と返答されて場が凍り付いたこともありました…

まとめ

ここまで眺めてきたように、葬儀には確かに大切な意味合いがあります。まとめると

  • 相互扶助となって「お互い様」を成り立たせる
  • 交流の場となる

の二点が葬儀の持つ大切な役割といえるでしょう。
しかし既に述べたように「村」で相互扶助を成り立たせる必要が無いくらい社会が成熟してしまっていること、交流の場ではあるが負の作用(アルハラ・マタハラ)ももたらしてしまうこと、などの理由から

従来通りのやり方が合わない

と私達は社会からNOを突き付けられています。
もちろん、先人たちに学ぶことも必要です。
従来のやり方を現代に合わないからと言って「ムダだから、いらない」などと乱暴な意見を言うつもりもありません。


というか、私たちの人生って「無駄なもの」で彩られているじゃないですか。

趣味や嗜好品がそのいい例です。
趣味で集めたものはその人が亡くなればゴミとなってしまうこともあり、うまい具合に引き取り手が無かったりします。そうするとその趣味は無駄だったのかというとそうでもなくて、趣味のおかげで交流の幅が広がったり家族ができたりします。

また、酒やタバコなどの嗜好品はそれこそ「やらなくても生きていけるもの」ですし、やりすぎると身体を壊したりします。その意味では確かに「無駄なモノ」です。
でも、だからといって
「おじいちゃん、タバコ好きだったねえ」といいながら墓前にタバコを一服捧げるのだって大切な弔いのこころです。

だから、人生には無駄に見えるものこそ重要なんです。

でも、本当に必要で残されていく無駄と、惰性的に残されるムダは違います。

ただ「昔からそうだったから」で済まないほど社会は複雑・多様化してきました。
ですが、仏教こそ本来は複雑・多様化に対応してきたはずなのです。

今、コロナ禍で私達は問われています。

相互扶助の役割を失っても、葬儀は意味があるのか。
より良い交流の場としての葬儀(お斎)、本当の意味での『ソーシャル・ディスタンス』を…。

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koba

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freeブロガー兼・実験系YouTuberです。 お寺生まれ・お寺育ち。 元京都の呉服問屋での営業マン。現在・応永山淨照寺副住職。【 趣味】釣り・筋トレ・ゲーム・読書・ガンプラ作り 【生年月日】1977年1月25日【血液型】AB型 【星座】水瓶座【保有資格】日商簿記3級・2級ファイナンシャルプランナー
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